住野よる著「また、同じ夢をみていた」あらすじ|『幸せとは』の答え探し

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また、同じ夢を見ていたアイキャッチ

住野よる著「また、同じ夢を見ていた」を紹介します。

住野よるのデビュー作「君の膵臓をたべたい」が青春小説の大ベストセラーとなり、
多くの読者に感動を与えてくれましたが、次作となるこの作品も期待を裏切らないものとなっています。

『また、同じ夢を見ていた』というタイトルは、ロックバンドの10-FEETの「蜃気楼」という曲の歌詞の一節からつけられたそうです。

この作品は、友人のいない少女や自傷行為を繰り返す女子高生など、様々な人間模様が描かれています。

彼らが直面する困難や苦悩、そして紡がれる物語の中には生きる勇気や希望が宿っています。

小学生の奈ノ花が「人生とは」「幸せとは」の答えを彼らから教わっていくお話です。

この記事では、「また、同じ夢を見ていた」の魅力や共感を呼ぶストーリーについて詳しくご紹介いたします。

ぜひ、住野よるの新たな世界に没頭してみてください。

目次

書籍情報

著者:住野よる

出版社:双葉社

出版日:2018年7月11日

著:住野よる
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著:住野よる
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登場人物

小柳奈ノ花:主人公。読書好き。少しおませな賢い小学生

「彼女」:尻尾の短い黒猫

アバズレさん:「季節を売る仕事をしている」社会人のお姉さん
近所のアパートに住んでいる

おばあちゃん:お菓子を焼くことがとっても上手な老婦人

南さん:小説を書いている女子高生

桐生くん:奈ノ花のクラスメートの男子。絵を書くのが好き。

あらすじ

黒猫の彼女

きっと誰にでも「やり直したい」ことがある。学校に友達がいない“私”が出会ったのは手首に傷がある“南さん”とても格好いい“アバズレさん”一人暮らしの“おばあちゃん”そして、尻尾の短い“彼女”だった―

「BOOK」データベースより

奈ノ花は自分自身を賢いと思っていて、周りの同級生を見下しています。
だから、クラスに友達はいません。

「人生とは〇〇ね」というのが口癖です。
この口癖は漫画のピーナツのセリフに影響されています。

奈ノ花は、国語の授業でとりあげられたテーマ「幸せとは何か」について考えているところに、3人の女性に出会います。その3人とのやりとりから、奈ノ花自身の考える「幸せ」について答えを導き出します。

アバズレさん

奈ノ花の友達「彼女」が怪我をし、助けを求めるために、近所のアパートの部屋をしらみつぶしに訪問します。
しかし、どの部屋の住人も不在で、唯一ドアを開けてくれた人が「アバズレさん」でした。

自宅の郵便受けにマジックで乱暴に書かれた「アバズレ」の文字を見た奈ノ花は、
変わった名前だなと思いながらもこのお姉さんの表札に書かれた名前だと思ったのです。

お姉さんは奈ノ花の勘違いに爆笑しながらも否定せず受け入れてくれます(笑)

友達のいない奈ノ花は毎日アバズレさんの元へ通うようになります。

アバズレさんはお菓子やヤクルトを出してくれて、一緒にオセロをしたり他愛もない話をしたり。

おばあちゃん

おばあちゃんは一人で住んでいて、お菓子作りが得意です。

たくさんの本を知っていて、奈ノ花におすすめの本を教えてくれます。

オセロを一緒にして、奈ノ花に『先を見る力』があるといいます。

おばあちゃんの家には絵が飾ってあります。

その絵は海外に住む友人が描いたものだそうで、「live me」のサインがありました。

南さん

女子高生の後ろ姿

「アバズレさん」もおばあちゃんも不在の日に初めて会います。

衝撃的ですが、彼女は手首にカッターを当てていました。

その手当をしょうと奈ノ花が声をかけます。

彼女は高校生で、スカートに刺繍で「南」と書いてあったので、
奈ノ花は彼女が「南さん」だと勘違いします(笑)
またですね、思い込み。

南さんはノートに小説を書くのが好きでした。でも、恥ずかしくて誰にも言えていません。

実は奈ノ花も物語を書いてみたいと思っていたので南さんんことを「すごい!!」と尊敬します。

そして、南さんの両親は亡くなっていて、寂しい思いをしているようでした。

隣の席の桐生くん

奈ノ花には気になる同級生がいました。

それは隣の席の桐生くん。

彼は絵を描くのが好きでした。

ですが、絵を描いていることを揶揄われるが嫌でクラスメイトには隠れてこっそりと絵を描いていました。

そんな彼を奈ノ花はいくじなしだと思っていました。

両親との和解と南さん

学校の教室

学校の授業参観に来るはずだったお母さんが、急な出張でこれなくなったと聞いた奈ノ花はショックのあまりお母さんと喧嘩してしまいます。

そのことを南さんに相談すると、南さんは血相を変えて謝って仲直りをするように奈ノ花に伝えます。

南さんは両親と喧嘩し仲直りすることなく死別してしまったことを悔やんでいたのです。
自傷行為をするのも、そのことを悔やんでの行動です。

だから、奈ノ花には同じ後悔をして欲しくないと。

人生とは自分で書いた物語だ。推敲と添削。自分次第でハッピーエンドに書き換えられる。

本文より引用

喧嘩と仲直りはセットと教えてくれます。

両親と仲直りすることを約束し、南さんにも笑顔でいて欲しいと約束をします。

南さんは自分の「幸せとは」の答えを奈ノ花に伝えてくれました。

南さんの「幸せとは」

自分がここにいていいと認めてもらえること

勇気をだして両親と仲直りしたのち、授業参観にお母さんが駆けつけてくれました。

お父さんと相談して出張を早めに切り上げてくれたそうです。

その喜びを南さんに伝えようといつもの建物へ向かうと、そこは工事中になっていました。

そこから南さんと会えなくなってしまいます。

桐生くんとアバズレさんとおばあちゃん

ある日、桐生君のお父さんは万引きで捕まります。

クラスでそのことが噂になり、桐生くんへ悪口を言いいます。

それを見た奈ノ花は「噂であって真実かどうかわからない」と桐生くんをかばいますが、桐生くんは「やめてよ!」と奈ノ花へ怒りをぶつけてきます。

そこから桐生くんは不登校になってしまいます。

桐生くんをかばう奈ノ花はクラスメイトに無視されるようになります。

奈ノ花は桐生くんプリントやノートを届けに家に尋ねますが、桐生くんは会ってくれません。

周囲から無視されるようになり奈ノ花は誰とも関わらずに生きてくとアバズレさんに相談します。

しかし、アバズレさんは強く反対します。

人と関わることを辞めてしまうと自分みたいになるからダメだと。

そして、よく見る夢の話をします。

自分の殻にこもって生きることは楽だけど、気づいたら自分の周りには何もなく、
立派になっても褒めてくれる人もいない。
それに気づいた時、人生を終わらせようとした。
その時、ある小さな女の子が尋ねてきたことによってその思いを打ち消した。

誰かを好きになることを諦めなければ、必ず素敵な人生になる。

本文より引用

他の子も自分と同じで、いろんなことを考えている。
ただ、戦い方、タイミングが違う。
相手の気持ちを考えてあげることが大事だとアドバイスをもらいます。

アバズレさんの「幸せとは」

誰かのことを真剣に考えれるということ

その話を聞いて奈ノ花は、「桐生くんに会いに行く」と言います。

桐生くんの名前を聞いたアバズレさんは急に表情を変え、ついには泣き出してしまいます。

人生とはプリンと一緒だ。人生には苦いところがあるかもしれない。でもその器には甘いしあわせな時間がいっぱいつまっている。人はその部分を味わうためにいきているんだ。

本文より引用

翌朝奈ノ花は、桐生くんに会いに行きます。
「幸せとは何か?」について話をします。
一緒の幸せを見つけられることが、友達や味方ということだと考えたからです。

桐生くんは優しい。待っていれば必ず答えてくれると考えて。

桐生くんの「何でそんなに僕にかまうのか」の問いに奈ノ花は、「桐生くんの絵が好きだから。自分に作れないものを作れる人は凄い」と伝えます。

扉を開けた桐生くんの手に手をそっと重ねます。
それは、アバズレさんが奈ノ花にしてくれた様に。

奈ノ花が味方でいてくれるなら、学校に行くと桐生くんは言ってくれます。
そして、「僕は小柳さんの味方だから。」とも。

人生とはオセロみたい。
~中略~
たった1枚の白で私の黒い気持ちは一気に裏返るのです。

本文より引用

遅刻していった授業で、桐生くんは勇気をだして発表します。

桐生くんの「幸せとは」

僕の絵を好きだって言ってくれる友達が隣の席に座っている事です。

その日の放課後、アバズレさんのアパートを訪ねると別の男性が住んでいました。

そして、アバズレさんと会うことは出来なくなってしまいました。

分からないことを教えてくれるのはおばあちゃんです。

おばあちゃんは今日もベッドで横になっていて、
「また同じ夢をみていた」と言って起き上がりました。

今日あったことをおばあちゃんに伝えます。

南さん・アバズレさんに会えなくなったこと、だけどそれほど悲しいわけでもないことを。

おばあちゃんは、「いつか必ず2人に会えると信じているから、絶望しているんじゃないんだね」と奈ノ花の安心を言葉にしてくれます。

奈ノ花はおばあちゃんに「幸せとは」を尋ねます。
それは答えが知りたいのではなく、「幸せ」は人それぞれ違うということに気づいたのでおばあちゃんの「幸せ」が知りたかったのです。

ヒントや方法を教えてもらっても、最後は自分で考えるしかないと気づきます。

おばあちゃんの「幸せとは」

今、私は幸せだったって言えることだ。

私は出来た。大切なひとの味方になってあげること、友人や家族を愛した。
誰かを傷つけることはあったかもしれない。
でも、優しい人になろうと思うことができたから、人生は幸せだったと。

人生とは、すべて希望に輝く今のあなたのものよ

本文より引用

おばあちゃんの家を出て、後ろを振り返るとそこは緑の原っぱでした。

感想 わたしの幸せとは

登場人物のもつ悩みは誰しも持つであろう悩みでした。

私自身も自分の選択が正しかったのかと悩むことがありますが、このお話を読んで救われる気がしました。

自分のことを大切にすること。

自分や大切なひとのことを思っての自分の選択を認めてあげること。

自己肯定。簡単なようで難しい。

自分が幸せだと思うことが、幸せへの第一歩であるのだと、大人になった今やっと気づいたと思います。

もっと早くにこのお話に出会えていればとも思いますが、今この年齢になったからこそ感じられたのかもしれませんね。

お話に出会う年齢で受け取り方は変わってくるのだろうと思います。

このお話はファンタジー。

読み進めているうちに勘づいてはきますが、最終章で驚く展開でした。

「ああ、ここで終わりか」

このお話はすべて奈ノ花の見る夢でした。

南さん、アバズレさん、おばあちゃんは将来の奈ノ花自身。

おばあちゃんの言う「先を見る力がある」や「大人は過去をみる生き物」というセリフは伏線であったのです。

「幸せとは」を考えながら、奈ノ花の悩みの解決の手助けをする将来の奈ノ花たち。

そして、将来の奈ノ花たちの心を軽くしてあげれた小学生の奈ノ花。

ほんとうに賢くて、強い子です。

あまりじっくりと「幸せとは」と考えることもないですよね。

わたしはやっぱり大切な人に囲まれて笑顔で過ごせることが幸せだと思いました。

たこぴい

幸せは案外身近にあるものだと気づかされました

Twitterの声

https://twitter.com/nasubl___/status/1683167463700303872

まとめ

小学生の奈ノ花が「人生とは」「幸せとは」の答えを彼らから教わっていくお話でした。

その過程は涙なしには読めませんでした。

誰もが持ちうるであろう悩みや苦悩。

そこから解放される手助けとなるのではないでしょうか。

ぜひとも読んでみてください。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは。

    自分も「また、同じ夢を見ていた」読みましたよ。
    いい作品ですよね。
    “人生とは~”の謎かけがどれも秀逸でした。
    そのうえ不思議で優しいストーリーだと思いましたよ。

    • 神崎さん、コメントありがとうございます。
      ファンタジー要素がありながらも、しっかり人生について考えさせられましたね。
      登場人物のセリフはほんとうに素敵なものばかりでした。

      中年の私に響くのだから、若い人たちに読んで欲しい一冊です。

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