私の好きな小説家、島本理生さんの作品を紹介しますね
島本理生さんは、主に恋愛小説を執筆している小説家です。
直木賞を受賞したことでも有名です。
女性らしい繊細な文章が魅力的で、女性の生々しい心情をすらすらと描写する文章は圧巻の一言です。
私は恋愛小説を好んで読むのですが、島本さんの描く大人の日常や、
日常と見間違えるような非日常的な物語にいつも心を奪われています。
少女漫画のような綺麗な色恋ではなく、もっとごくごく自然な男女の心理が描かれています。
そこが身近なようで、引き込まれれるポイントかもしれません。
そんな私の大好きな島本理生さんの小説を5作ご紹介します。
きっと皆さんも惹かれ、読んでみたくなるはずです。
島本理生プロフィール
島本理生さんは、若い頃から恋愛小説を書き続け、高い評価を受けている受賞歴のある小説家です。
特に、読者の心を魅了する女性的なストーリーを書くことに定評があります。
2001年、17歳でデビュー作の『シルエット』が第44回群像新人文学賞優秀作を受賞しました。
2003年には『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を史上最年少で受賞。
さらに、同作は高校在学中に第128回芥川賞候補となり話題となりました。
2018年には『ファーストラヴ』で直木賞を受賞。
なんと、島本理生さんは小学生のころから小説を書き始めたそうです。
15歳のころ『ヨル』が『鳩よ!』掌編小説コンクール第2期10月号に当選、
年間MVPを受賞するなど早くからその才能を開花させているそうです。天才。
主な文学受賞歴
2001年:『シルエット』が第44回群像新人文学賞優秀作
2003年:『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞
2004年:『生まれる森』第130回芥川賞候補。
2005年:『ナラタージュ』第18回山本周五郎賞候補、本屋大賞第6位。
2006年:『大きな熊が来る前に、おやすみ。』第135回芥川賞候補。
2007年:『Birthday』第33回川端康成賞候補。
2011年:『アンダスタンド・メイビー』第145回直木賞候補。
2015年:『red』第21回島清恋愛文学賞受賞。『夏の裁断』第153回芥川賞候補。
2018年:『ファーストラブ』第159回直木賞受賞。
島本理生の魅力
島本理生さんは、小説の中で、恋愛や女性らしさに触れる、とても繊細な物語を書いています。
島本さんの小説は、思いのほか官能的なシーンが多いのですが、
その繊細な書き方によって、優しい印象を受けます。
実写映画化された作品も存在します。
「よだかの片想い」2022年9月16日公開、「ファーストラヴ」2021年公開、「Red」2020年公開、「ナラタージュ」2017年公開。
3,929円
3,573円
私のおすすめ5選
憐憫
かつて子役だった沙良は、芸能界で伸び悩んでいた。自分の正体をまったく知らない人間に出会いたい──そんな折に酒場で偶然出会った柏木という男に、たまらない愛しさと憐憫(れんびん)を感じた──。愛に似て、愛とは呼べない関係を描く、直木賞作家の野心作。
Amazonより引用
依存と自己投影
まずは、漢字が読めず、意味を調べるところから。
憐憫(れんびん)「かわいそうに思うこと。あわれむこと。あわれみ」
女優の沙良は自分のことを全く知らない柏木という男に出会い、
彼に「洪水のような憐憫」を感じ、次第に引き込まれていきます。
なぜか柏木に自分自身を投影することで自分自身に憐憫を感じます。
そうやって自分と向き合い始めてやっと自分の価値を見出せるようになるのです。
ファーストラヴ
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
Amazonより引用
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
2022年にドラマ化、2021年に映画化された作品です。
家族と嘘
「ファーストラヴ」というタイトルから、甘酸っぱい初恋を連想しますが、
このお話は娘が父親を殺害した動機を、臨床心理士の主人公が探っていくというミステリー作品です。
歪んだ家庭環境で育った環菜は嘘をつくこと、「相手の期待に答えなくてはいけない」と自分を抑制することで綱渡りのように生きてきました。
自分の意志を隠すように嘘を繰り返す環菜でしたが、
由紀の真摯な対応に心をほぐしていく過程が二転三転するので苦しかったです。
最終的には、由紀の夫の我聞の愛の大きさに感動しました。
そして、「ファーストラヴ」のタイトルとは読者への問いかけであったようです。
この小説って、正しい初恋って一個も出てこないんですよね。むしろ初恋だと思っていたものは本当に初恋だったのか、という。本当はちょっと別のものだったかもしれないし、実は傷つけられたのに、それを見ないふりをしているのかもしれない。そうした逆説的な意味をこめてこのタイトルにしました。
島本理生さんインタビュー 文春オンラインより引用
Audibleで、松井玲奈の朗読で聴くことができます。
Red
夫の両親と同居する塔子は、可愛い娘がいて姑とも仲がよく、恵まれた環境にいるはずだった。だが、かつての恋人との偶然の再会が塔子を目覚めさせる。胸を突くような彼の問いに、仕舞い込んでいた不満や疑問がひとつ、またひとつと姿を現し、快楽の世界へも引き寄せられていく。『ナラタージュ』の著者が官能に挑んだ最高傑作!
Amazonより引用
傍からみれば恵まれた境遇の主人公塔子。
悪い人ではないけど不器用な夫の真一との関係や義両親との同居で疲弊した塔子は、
過去に交際していた鞍田と不貞関係になります。
絶対ダメ!な関係なのですが、意外にも純愛だと感じさせられます。
そこがこの小説の引き付けるポイントなんだと思います。
子育てしている女性の赤裸々な感情を表現してあり、男性にも読んでほしい1冊です。
よだかの片想い
顔に目立つ大きなアザがある大学院生のアイコ、二十四歳。恋や遊びからは距離を置いて生きていたが、「顔にアザや怪我を負った人」をテーマにした本の取材を受け、表紙になってから、状況は一変。本が映画化されることになり、監督の飛坂逢太と出会ったアイコは彼に恋をする。だが女性に不自由しないタイプの飛坂の気持ちがわからず、暴走したり、妄想したり…。一途な彼女の初恋の行方は!?
Amazonより引用
この作品も映画化されています。
「顔にアザ」のある主人公のアイコは、友人から「顔にアザや怪我を負った人」をテーマにした本の取材を受けることによって自分のコンプレックスと向き合うことになります。
初恋をすることで、アザも自分の個性として受け入れられるように成長していきます。
アイコの会いたいのに会えない気持ちや心の描写が鋭く繊細に表現されていて、応援したくなります。
わたしたちは銀のフォークと薬を手にして
「どこへ行きましょうか」 「どこへ行くか」
Amazonより引用
30歳の私は、あの日、夕方の春の海辺で、どこへ行けるか分からない恋を始めた。限られた時間の中にいる男女の行く末を描いた、渾身の恋愛小説。
年上のエンジニア・椎名さんと仕事先で出会った知世。美味しいものを一緒に食べる関係から、少しずつ距離が近くなっていったある日、椎名さんは衝撃の告白をするが……。
仕事熱心なOL・知世と年の離れた男性とのデートは美味しいものを食べたり旅行に行ったり
魅力的でしたが、相手の椎名さんは難病を患っていました。
私には病気の告白が衝撃的でした。
お互いにお互いを気遣い、葛藤しながらも二人の心地よい関係を築いていきます。
「咀嚼しながら、ふと思う。この世は焼き鳥とレモンサワーを一緒に楽しめる相手とできない相手に分かれることに」
わたしたちは銀のフォークと薬を手にして 本文より引用
食事の時間を楽しく心地よく過ごせるということは、思いのほか重要な事なのかもしれません。
知世の友人、妹のスピンオフ的なお話もあり、短編集な一冊です。
島本理生 おすすめ
大人になるって、この人を好きになるとは思わなかったっていう恋愛が始まることかもしれない。
わたしたちは銀のフォークと薬を手にして 本文より引用
恋愛小説の名手と名高い島本理生さん。
多くの作品が30代の女性の微妙な心理を表現していて、身近なようで引き付けられます。
島本理生さんの小説のなかの男性もすごく魅力的なんです。
私の大好きな島本理生さんの小説を5作ご紹介しました。
読んだことのない作品があれば、一度読んでみてください。
恋愛小説で女性の心情をあらわした小説ですが、ぜひとも男性にも読んでほしいと思います。
コメント