2023年本屋大賞「汝、星のごとく」あらすじ紹介します

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汝、星のごとくアイキャッチ画像

2023年本屋大賞が発表されました。
大賞は凪良ゆうさんの作品「汝、星のごとく」でしたね。

本屋大賞は全国の書店員が、客に勧めたいと思う小説を投票で選ぶ大賞です。
書店で出会った「stand by me」まさに、
そばにいて欲しい1冊として選ばれたものだそうです。

本屋大賞10作品にノミネートされた恋愛小説なので読んでみましたが、
切なく、苦しい。
涙が流れて、流れて、止めようとして嗚咽が出る程でした。
わたしにとっても、ほんとうに心に残る1冊です。

たこぴい

今思い出しても、目頭が熱くなるほど

高校生の17歳から32歳までの15年間を描いた恋愛小説です。
純愛で相思相愛なのに、
人生の岐路である時間と、2人を取り巻く環境に翻弄されすれ違う2人。
選ぶことと捨てること。
生きていく事に大事なことを教えてくれていると感じました。

「汝、星のごとく」あらすじを紹介していきます。

著:凪良ゆう
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『汝、星のごとく』は現在、Audibleにて配信されています。
聴き放題の対象作品になっています。
本を読むのが苦手な人でも、気軽に作品を楽しめますよ。
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目次

書籍情報

著者:凪良ゆう

出版日:2022年08月04日

出版社:講談社

第168回直木賞候補、2022王様のブランチBOOK大賞、
キノベス!2023第1位
第44回吉川英治文学新人賞候補作
第10回高校生直木賞候補作
ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2022 第3位
今月の絶対はずさない! プラチナ本 選出(「ダ・ヴィンチ」12月号)
第2回 本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞 ノミネート
未来屋小説大賞 第2位
ミヤボン2022 大賞受賞
Apple Books 2022年 今年のベストブック(フィクション部門)

著者 凪良ゆうさん

京都市在住。2007年に初著書が刊行されデビュー。
BLジャンルでの代表作に’21年に連続TVドラマ化された「美しい彼」シリーズなど多数。
2017年に『神さまのビオトープ』(講談社タイガ)を刊行し高い支持を得る。
2019年に『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。
2020年『流浪の月』で本屋大賞を受賞。同作は’22年5月に実写映画が公開されました。
2020年刊行の『滅びの前のシャングリラ』で2年連続本屋大賞ノミネート。

登場人物

井上暁美(いのうえ あきみ)主人公 瀬戸内の島で生まれ育つ。父親は不倫相手と暮らす。

青埜櫂(あおの かい)京都からの転校生。母は男(あーくん)を追いかけ島にやってきた。漫画を描いている

瞳子 暁美の父の不倫相手 刺繍作家

北原先生 暁美と櫂の高校の化学の先生 シングルファザー

結(ゆう)ちゃん 北原先生の娘

久住尚人 櫂の相棒。漫画の作画担当 几帳面で繊細

植木 櫂と尚人の才能を見出した編集者

二階堂絵理(にかいどうえり)編集者。櫂と関係を持つ

安藤圭(あんどうけい)尚人の恋人 高校生

あらすじ

その愛は、あまりにも切ない。

正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。
本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。

ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。

ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。

Amazonより引用

暁美と櫂の出会い

瀬戸内の島に住む暁美。
島は閉鎖的で娯楽が少ないので、島の人の話はすぐに広まり、
島の人のゴシップが最大の娯楽となります。

櫂は、自由奔放で恋愛脳の母を持ち、翻弄される生活を送っていました。
母は恋愛を始めると息子である櫂のことを忘れ、
櫂を置いて男の元に入り浸る事もありました。
今度は男を追いかけ暁美の住む島へと引っ越してきました。

暁美の父は不倫をしており、遂には家にも帰ってこない生活となります。
母は暁美に父に会って帰るように伝えるように言います。
たまたま港で櫂と出会い、父に会いに行くのに櫂を道連れにしてしまいます。
2人はほとんど会話もしたことのない関係でしたが、
このことで親に振りまわされる境遇が似ていて共感でき、
仲を深めるきっかけとなります。

2人は何でも話せる間となります。
島の人の噂になりたくないので人気のない浜辺で待ち合わせ会話をするのが日課になっていました。

櫂と漫画

櫂は寂しさを紛らわせるため漫画をよく読みました。
漫画は現実逃避をさせてくれます。
そのうち自分でも漫画を描くようになりますが、
絵がうまくなくてストーリーだけを書くようになります。
漫画や小説の投稿サイトで久住尚人と出会い櫂の小説で尚人が漫画を描くようになります。
物語しか書けない櫂と、絵しか描けない尚人の不完全さをお互いが補い合い、
いい漫画を作れるのだと編集者の植木は褒めます。

足りないことは俺にとっては苦しみや寂しさでしかない。歪なものに、歪であるがゆえの価値を与えるのは常に他人だ。

本文より引用

櫂は高校を卒業したら尚人のいる東京へ行き漫画に専念する予定です。

夕星(ゆうづつ)

交際を始めた2人は惹かれあい、東京に行く櫂についていくことを決めた暁美でしたが、
夫の不倫に思い悩んだ母が事件を起こします。
その母を置いて東京へ行くことは出来ないと暁美は島で就職する事にしました。

「・・・夕星やな」
西の空の低い位置に、たった一粒で煌めいている星を見つけた。
(中略)
同じタイミングで手を差し出した。つないだ手から熱が伝わってくる。どこまで続くかわからない。けれど続くところまで共に歩きたい。
互いの目に同じ星が映っているうちはーーー。

本文より引用

別れを惜しむ二人は、「夕星(ゆうづつ)」という、西の空にあがる宵の明星を見つめます。

夕づつは宵の明星、金星のこと。
そして金星は愛の星と言われ、一番明るく見える惑星だそうです。

櫂は東京へ すれ違うふたり

高校を卒業した後は櫂は東京で漫画家、
暁美は島で普通の会社員をしながら趣味でオートクチュール刺繍を続けていました。

その後、櫂の漫画はヒットし、アニメ化も決定するほどでした。
それに比例して櫂は多忙となります。

一方で暁美は、女性の社会進出に否定的な島で安い給料で報われない仕事を続けながら、
母の介護をする日々でした。
化粧やおしゃれをすることも苦しく、することもなく。

東京で成功した櫂は生活もお金の使い方派手になり、
暁美は櫂に会ってもみじめな思いになるばかりでした。

高校生の時にはいくらでも語り合えた二人の会話もかみ合わなくなり、
遂には暁美は別れを切り出します。

櫂の転落

暁美から切り出された別れ話も本気と捉えず、
時間をおけば機嫌もなおるだろうと楽観視していました。

相棒の尚人のスキャンダルが出たことで、漫画の連載、アニメ化が中止されます。

騒動がおちつたら、暁美に連絡しようと思いながら時間だけが過ぎていきます。

編集者の二階堂絵里は櫂に小説を書くことを勧めますが櫂は拒否します。

暁美の母親は父親との離婚が成立し、宗教へのめり込みます。
家のお金をすべて宗教へつぎ込み、
それを暁美から咎められ発作的に飛び出し交通事故を起こしてしまいます。
事故の賠償金を払うことができず、
不本意ながら暁美は櫂にお金を借りにいきます。

櫂は暁美が心配であったし、
お金で暁美とつながっていれば復縁のきっかけになると思いお金を貸します。

しかし、復縁にはなりませんが、暁美がお金を返済し続けるかぎり
2人は繋がっていると感じるようになります。

漫画家として挫折した櫂は酒を飲み、女の所に転がり込むような日々をすごします。
そんな生活をしているうちに櫂は胃癌を発症してしまいます。

北原先生の提案

北原先生は暁美に結婚を提案します。

これは恋愛からの結婚ではなく、互助会であると。

北原先生にも忘れられない思い人がいると告白されます。
夫婦になっても、お互いに心に思う相手がいるということ。

結婚したことで、島の奥様コミュニティに参加させてもらえるようになったり、
仕事を辞めて刺繍に専念することができるようになります。

自分で自分を養える、それは人が生きていく上で最低限の武器です。結婚や出産という環境の変化に伴って一時的にしまってもいい。でもいつでも取り出せるよう、メンテはしておくべきでしょうね。いざとなれば闘える。どこにでも飛び立てる。独身だろうが結婚していようが、その準備があるかないかで人生が違ってきます

本文より引用

感想 切ない恋愛

読み始めてすぐに「うわ、浮気男に翻弄される話か」と本を閉じようかと思いました。
不倫がテーマか…とがっかりしたのです。

しかし、読んでいくうちに暁美の境遇、選択の末に
このような夫婦関係を築いているのだと知ることになります。

親の不倫、交際相手の浮気。

自分の意思を貫くには何かを捨てなければならない。

全ては自分らしく生きるということ。

きみのそれは優しさじゃない。弱さよ。
いざってときは誰に罵られようが切り捨てる、もしくは誰に恨まれようが手に入れる。
そういう覚悟がないと、人生はどんどん複雑になっていくわよ。

本文より引用

瞳子が櫂に言ったセリフです。
自分の人生を大切に生きるということを教えてくれています。

何度でも言います。
誰がなんと言おうと、ぼくたちは自らを生きる権利があるんです。
ぼくの言うことはおかしいですか。
身勝手ですか。
でもそれは誰と比べておかしいんでしょう。
その誰かが正しいと言う証明は誰がしてくれるんでしょう。

本文より引用

北原先生が暁美に言ったセリフです。
周りの評価を気にせずに自分の人生を大切に生きて欲しいと教えてくれています。

恋愛小説は人生小説なんだなぁと思わせてくれました。

プロローグとエピローグほぼ同じなのに、
全く違って見えるので驚嘆でした。

夕づつを見て  佐藤春夫

きよく
かがやかに
たかく
ただひとりに
なんじ
星のごとく。

夕づつを見て  佐藤春夫

佐藤春夫の「夕づつを見て」は
ただ一人のひとを 気高く純粋なものとして、想い歌った詩だそうです。

夕づつは宵の明星、金星のこと。
金星は愛の星と言われ、
愛の星は愛を与え、与えられて明るく輝くのでしょうね。

twitterでの声

まとめ 自分の人生を大切に生きること

二人の切ない恋愛から、
自分の人生、自分らしく生きるために取捨選択する事。
その選択を覚悟する事。
それは自分を大切にする事を教えられました。

私にとってとても印象的な1冊となった作品です。
ほんとにおススメな作品です!
本屋大賞受賞で話題にもなっていますし、
是非読んでみてください。

著:凪良ゆう
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