ビートたけしさんの初の恋愛小説「アナログ」が映画化されるそうで、読んでみました。
私はビートたけしさん「アウトレイジ」の印象が強く、
恋愛小説なんて書いていたんだ!と驚きました。
恋愛小説というジャンルですが、友達との友情、母との親子愛、
そして漫才師ならではの漫談ネタ、下ネタ満載です。
友達との掛け合いがおもしろい!
シリアスな展開と友達との砕けた掛け合いとの対照的な展開に引き込まれるように、
2時間程で読めましたよ。
又吉直樹さんとの対談で、たけしさんは本作を書く理由について
「『たけしは男と女を描けない』なんて言われてきたけど、自分のすべてをかけて誰かを大切にするってどういうことなのか、この小説で書きたかったんだ」と説明し、
さらには「人生で一度だけ、こんな恋がしたいと思った」とも語ったそうです。
大人の男が描く純愛、興味ありませんか?
「アナログ」のあらすじを紹介していきます。
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書籍情報
著者:ビートたけし
出版社:新潮社
出版日:2017年9月22日
著者 ビートたけしさん
ビートたけしさんは言わずと知れたお笑い芸人さんです。
1980年代の漫才ブームで漫才コンビ・ツービートとして活躍。
1980年代後半からは俳優として映画やテレビドラマにも出演し、
1990年代からは映画の脚本家・監督としても活動しています。
1989年の『その男、凶暴につき』で映画脚本家・監督デビューし、『ソナチネ』(1993年)では世界的に高い評価を得ました。
教育熱心な母さきの元、長男は経営者、次男は大学教授、末っ子であるたけしさん。
大学を中退してお笑いの道に進んだたけしさんを母はいないものとして扱っていたそうです。
その後、人気を得たたけしさんに母は会うたびに「小遣いくれ」とお金を無心します。
しかし母は、芸人は不安定な職業であり、
有り金全部使ってしまう息子が路頭に迷わない様にと貰ったお金を貯金していたそうです。
登場人物
水島悟 主人公。清水デザイン研究所のデザイナー。
みゆき 水島が一目ぼれした女性。
岩本 水島の上司。
高木淳一 水島の悪友。不動産業
山下良夫 水島の悪友。
吉田ひかり 水島の同期の同僚。元カノ。
島田 清水デザイン研究所大阪支社の社員。
高橋 清水デザイン研究所大阪支社の部長。島田の上司で岩本の同期
あらすじ
みゆきとの出会い
水島悟は清水デザイン研究所に勤め、
レストランやホテルなどの設計などを手掛けるデザイナーをしています。
ある日、水島がデザインを手がけた「ピアノ」という喫茶店で、
悪友の高木と山下と待ち合わせをします。
椅子の上にインテリア特集をした雑誌を見つけます。
雑誌には「ピアノ」も掲載されてたので水島はその本に見入ってました。
そこへ本の持ち主であるみゆきがやってきます。
彼女は目の覚めるような美人で、水島は一目ぼれをします。
みゆきは「ピアノ」の雰囲気が好きだと言い、
「ピアノ」の話題で二人の会話は盛り上がります。
みゆきは毎週木曜日にピアノに来ていると知り、みゆきにもう一度会いたい水島。
そして、翌週の木曜日に「ピアノ」でみゆきに会うことができた水島は、みゆきを食事に誘います。
会話も盛り上がりいい雰囲気になったので、
彼女との距離を縮めたいと連絡先を聞こうとしますが、みゆきにはぐらかされます。
「お互いに会いたいという気持ちがあれば、絶対に会えますよ」
水島自身もスマホなどの機器も苦手で、アナログでデザインしていたため、
似た考えを持つみゆきに共感し、
毎週木曜日に会う約束をしたような気持ちになりはしゃぎます。
悪友
水島、高木、山下の3人は、酔って馬鹿話ばかりですが、
実はそれぞれにちょっとした事情を抱えていました。
水島は、父親を早くに亡くしており、女手一つで育ててくれた母親は現在、
特別養護老人ホームに入所中で、骨粗鬆症を患っていました。
高木もまた子供の頃に母親を亡くしていて、
大手不動産会社の経営者の長男でありながら、腹違いの弟が会社を継ぎ、
自分は小さな不動産屋を経営していました。
山下は結婚して子供もいます。
働いているゲーム制作会社では「姥捨て山」と呼ばれる昔ながらのアナログな玩具を担当する部署に所属させられていました。
それぞれの事情を知る3人は、
下ネタで盛りあがる一方で
水島の母親の話を聞くと涙を浮かべ、
みゆきとの関係を「変な付き合い方!」と茶化してみたり、
「それが本当の恋愛かもしれない」と親身になってお互いを思いやる関係性でした。
みゆきとデート
翌週は大阪へ出張となります。
なんとか木曜日の夕方には東京に戻り「ピアノ」へ行くつもりでした。
20代後半の大坂支社の社員島田に案内され、大阪支社へ行きます。
バレバレのカツラをつけている部長高橋に挨拶します。
高橋からコンピューターで見本を作るように指示されますが、
どうしてもアナログで見本を作りたいと主張し、徹夜で作業します。
泊まり込みで見本の制作をしたものの、やはり木曜日に帰ることは叶わず、
悟が東京に戻ったのは土曜日になってしまいました。
待ちに待った翌木曜日、「ピアノ」には高木と山下の姿がありました。
好奇心から二人の様子をうかがいに来ていました。
水島はみゆきに誘われてクラシックコンサートへ行きます。
クラシックの知識のない水島は、
みゆきと自分では生きてきた世界が違うと不安がよぎるものの、
スメタナの交響詩を聞いているうちに、音楽に引きこまれていきました。
その後、みゆきは「焼鳥屋さんで焼酎を飲んでみたい」というので、
悪友とよく行く焼鳥屋に連れていきます。
そこには酔っぱらった高木と山下がいて、4人で食事します。
帰り際にみゆきは悟の頬にキスをし「またね」と去っていきました。
水島は中学生の様にときめくのでした。
母の死
再度大阪出張となった水島ですが、出張中に母親の状態が悪いと連絡が入ります。
慌てて母親の元へ駆けつけますが、最期の時に間に合うことは出来ませんでした。
しかし、高木と山下は水島よりも先に老人ホームに駆け付け、
憔悴する水島の代わりに葬儀の手配をしてくれました。
母が亡くなったことで水島は2週ほど「ピアノ」には行けませんでした。
そして「ピアノ」にいくと、高木たちが伝えたのかみゆきは事情をしっていました。
水島はみゆきをドライブに誘い夜の海へ行きます。
水島は海を見ながら、
やせ細った母の姿や、悪友の姿、父の遺影などいろいろな事を思い出し号泣してしまいます。
みゆきは水島に優しく寄りそい、そっと水島の目元を指先で拭います。
水島はみゆきの胸に顔をうずめて泣き続けました。
この時、みゆきはかけがえのない人だと実感します。
みゆきは、水島にとって母であり菩薩であり天使だったのです。
転勤と別れ
水島は仕事で1~2年の間大阪に常駐することになります。
そこで水島はみゆきにプロポーズすることを決意し婚約指輪を購入します。
指輪をポケットに忍ばせ、「ピアノ」でみゆきを待ちますが、みゆきは現れませんでした。
その翌週も、翌々週も。
「三回連続で来ないってことは、自分に会いたくなくなったということだ」
とみゆきをあきらめようとします。
そのまま水島は大阪へ転勤となります。
みゆきに会えないまま1年を大阪で過ごす水島。
たまたま寄ったCD店で、チラシを目にして驚きます。
かつて天才ヴァイオリニストと人気を博した「ナオミ・チューリング」が、みゆきにそっくりだったのです!
水島は、ナオミ・チューリングのCDを購入し、
もう一度みゆきに会いたい!と高木たちにも連絡をし、調べてもらうことにします。
そこからみゆきの正体、なぜみゆきは「ピアノ」に来なくなったのかを突きとめます。
感想 恋愛・親子愛・友情
《誰かを大切にする》とは何かを問いかける渾身の長編。
単行本帯のあらすじより
本作は恋愛小説とはいえ、男と女の愛だけではなく母子の愛、友情も描かれています。
人は一人で生きているわけではなく、まわりの人との繋がりによって自分が存在する。
自分の不得意な事を誰かが補い、励まされ、
愛によって人生が形成されているのだと強く思わされました。
最終的にはみゆきを「母であり菩薩」と感じるあたり
母子の愛とはかけがえのないものなのでしょう。
主人公の水島はアナログでの味を大事に仕事に取り組んでいます。
そこで出会ったみゆきには一目ぼれしますが、
素性も分からないけどなんだか惹かれる存在。
深く踏み込もうとしても、はぐらかされ余計に気になっていきます。
2人の関係もアナログでよいのではないかとどんどんのめり込んでいく水島。
最初は容姿に惹かれ一目ぼれしますが、
肉体関係がなくともそばにいられれば良いと思う純愛です。
携帯電話やSNSで簡単に繋がれる時代に、
ただ会えることで喜べるもどかしいほどの純愛です。
なぜみゆきは「ピアノ」に毎週通うのか、素性を隠し深入りさせないのか。
彼女にも理由があったのです。
そしてなぜ「ピアノ」に現れなくなったのか、衝撃的です。
twitterの声
映画 二宮和也主演 2023年10月6日公開
水島役を二宮和也さん、みゆき役を波瑠さんで映画化されます。
監督を務めるのは、長編映画デビュー作「ホテルビーナス」でモスクワ国際映画祭コンペティション・パースペクティブ最優秀作品賞を受賞し、テレビ東京開局55周年特別企画ドラマ「二つの祖国」、「鳩の撃退法」などを手掛けたタカハタ秀太氏。
公開は2023年10月6日に決定しました。
喫茶店ピアノで会話するふたりのティザービジュアルが披露されています。
まとめ
人と会い繋がれる奇跡と喜びを知れる作品です。
ぜひ読んでみてください。
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