映画化『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』原作小説紹介

原作は、小説サイト「野いちご」で連載され、第1回野いちご大賞を受賞、累計発行部数30万部超え、「10代女子が選ぶ文芸小説No1」にも選ばれた（出典：日販 W+）ウェブ小説、
『夜が明けたら、いちばんに君に会いに行く』を紹介します。

この小説はウェブ小説から書籍化され、ついには実写映画化される作品です。

多感な高校生の二人の微妙な関係にヤキモキさせられます。
好いた惚れたの恋愛小説ではなく、
家族や友人との関係や自分自身のことで、
苦悩や葛藤などの繊細に揺れ動く感情がとてもリアルに描かれています。

書籍情報

著者：汐見夏衛(しおみ　なつえ）愛知県で高校教師を務めるかたわら、小説を執筆している。

出版社：スターツ出版

出版日：2020年5月28日

ジュニア新書もあります。

漫画もあります。

この小説はAmazon kindle Unlimitedなら読み放題対象になっています。

登場人物

丹羽茜　　勉強はできて、いつも誰に対しても笑顔で、先生からの信頼も厚い学級委員長だが、
本心を隠すため、マスクをつけて登校する

深川青磁(せいじ)　　整った綺麗な容姿に銀髪、自由奔放な言動で注目を集め学校の有名人
画家を目指している。誰にも言えない秘密を抱えている

あらすじ

高2の茜は、誰からも信頼される優等生。しかし、隣の席の青磁にだけは「嫌いだ」と言われてしまう。茜とは正反対に、自分の気持ちをはっきり言う青磁のことが苦手だったが、茜を救ってくれたのは、そんな彼だった。「言いたいことあるなら言っていいんだ。俺が聞いててやる」実は茜には、優等生を演じる理由があった。そして彼もまた、ある秘密を抱えていて…。青磁の秘密と、タイトルの意味を知るとき、温かな涙があふれる―。

Amazonより引用

マスク依存

主人公の丹羽茜は、ある事情からマスクをつけていないと落ち着かない〝マスク依存症〟。
人当たりのいい優等生を装っています。
引きこもりの兄、再婚した義父との関係、
母は妹の世話や家事を茜に依存気味で、
学校でも担任やクラスメイトは茜に色々
だんだんと茜の心は追い込まれ行きます。

爪の縁をシャープペンで傷つける自傷行為によって
心の平穏をギリギリ保っています。

壊れそうな茜に深川青磁は、茜が隠した本心を見抜き、
「嫌いだ」「つまんねえやつ」「お前見てると、本当に苛々する」
などと辛辣な言葉をぶつけてきます。

「嫌い」と言われ茜も青磁に苦手意識をもっていましたが、
青磁の絵を偶然見かけ心打たれます。
その絵は分厚い雲の隙間から光が射す空の絵で、
希望の光が降り注ぐ、涙がこぼれるほど美しい絵でした。

その絵をきっかけに二人は会話をするようになります。
青磁は「世界のすべてを見せてやる」と言い、学校の屋上に連れていきます。
そこから見る景色は360度見渡す限りの空。
青磁は「時間は永遠じゃない、我慢ばっかりせずに自分を出せ」と伝えます。

青磁は雨の日には透明なビニール傘の内側に青空と虹を描いてくれたり、
ペットボトルで水鉄砲を作り、空に向けて発射した水が、
光の雫となって降り注ぐところを見せてくれたり、
まだ暗い早朝から朝焼けを見に連れて行ってくれます。
茜は、その時読んだ小説
『夜更けに会いたくなる人は、体で恋うるだけのただの欲望大賞。夜明けに会いたくなる人は、心で愛している永遠の恋人よ。』
『朝焼けに染まる美しい空を見た時に、この空を見せたい、隣で一緒にこの光景を見たいと思い浮かべた顔は、あなたが本当に大切に思っている、愛する人なのよ』
というセリフが心に刺さります。

青磁の秘密

学校では青磁と茜が付き合っていると噂になります。
実際には二人は付き合っていないけれど、茜は青磁が好きだと自覚しています。
その心情を親友の沙耶香に相談に乗ってもらいますが、
その際茜のマスク依存症が紗耶香にばれてしまいます。
茜は取り乱してしまい、それを心配してくれた青磁にも暴言を吐いてしまうのです。

青磁はその次の日から学校を休みます。
1週間青磁が姿を現さないことに、茜の心は限界を迎えて、
先生になぜ青磁が学校を休んでいるのかを尋ねますが、理由は教えてもらえませんでした。
しかし先生は、青磁には誰にも言えない苦悩があるので支えてやってほしいと茜に言います。

青磁は再び学校に来始めますが、茜のことを無視します。
視線さえ合わせてくれず、その状態で１ヶ月が経ったとき
茜は「好きだから一緒にいたい」と青磁に伝えますが、
青磁は「二度と話しかけるな」と怒ります。

家に帰ると引きこもりの兄がリビングに来て、
兄は自分の進路を自分で決めたと伝えてきます。
今まで心配や迷惑をかけたことを謝罪します。
そして、今は茜の様子が変なのは青磁のせいではないかと問いかけます。

なぜ兄が青磁のことを知っているのだろう。

小学生のころ兄と青磁は同じサッカークラブに所属していたそうだ。
だから茜も小学生のときに青磁とは会っているのだそう。

兄の話では、青磁は中学生になってから病気で半年くらい入院していたことがあり、
サッカーも辞めていました。
青磁の性格では、腹が立ったら溜め込まずその場で言葉にするはずなのに、
無視をするのはおかしいと違和感を感じます。
そして、青磁に会いたいと強く思います。

映画化　９月１日公開

グローバルボーイズグループ「JO1」の白岩瑠姫と、久間田琳加の主演で映画化されます。
公開は2023年9月1日（金）
『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』公式サイト

ドラマ「明日、私は誰かのカノジョ」や「美しい彼」など話題作を次々と手掛ける気鋭のクリエイター、酒井麻衣監督がメガホンをとります。

Twitterの声

感想　「お前の心を守れるのは、お前だけだ」

いい子でいるために頑張りすぎて、素顔も他人に見せれない。
心が腐って死にかけていた時に出会った青磁。
青磁はその姿が偽りの姿であることに気づいていて、
本当の茜の姿を知っているからこそ、
その頃の茜の姿が見たいと茜を救い出そうとします。
彼自身も辛い状況で、多くの葛藤と戦い
その暗闇から抜け出した時、
いちばんに会いたいのは茜だと気づくのです。

世界は俺のものでもあるし、どっかの誰かさんのものでもある。
そいつの目に映る世界は、全部そいつのものだ。
だってそいつの目はそいつだけのもので他の誰の目とも同じじゃない。
だから、その目を通して見た世界は、他の誰が見る世界とも違う、誰とも共有なんてできない。

本文より引用

誰かの評価ではなく、
自分が見た世界を表現しよう。
自分を認めてあげよう。
それが自分らしく生きるという事なんだと教えてくれています。

おすすめの恋愛小説です。ぜひ読んでみてください。